中秋の名月祝って芋ふかす 湯気見て和むホームのフロア(利用者様寄稿)
私が入居している老人ホームで、午後のおやつにサツマイモとブドウを出すことになり、フロアに蒸し器や包丁やまな板など持ち込んで、芋を刻んで蒸し器でふかし始めた。蒸し器から湯気が立ちのぼった。その湯気がとても目にとまり、心が安らいでいく感じがした。「なぜこんなにも湯気が目につくのか」「なぜこんなにも湯気を見て心が安らぐのか」不思議な気がした。
なお、中秋とは9月15日のことで、名月とは九月になると大気の透明度が良くなり、冴えた夜空に輝く満月のことだ。この季節にはサツマイモやブドウなどが収穫されるので、収穫に感謝し、満月にお供えして祝うのだ。かなり昔から行われてきた季節的な家庭行事で、「芋名月」とか「お月見」などとも言われている。それを老人ホームでやってくれたのだ。やるには芋を刻んだり蒸したりの手間がかかる。その手間は家庭でやるのと同じ手間だ。だから、まさに「家庭代行サービス」の提供なのだ。わざわざ手間をかけて芋名月ををやるホームの経営者や職員たちに感謝したい。なお、釜や蒸し器から立ちのぼる湯気は、ホームで暮らす前は自宅台所でよく見ていたものだった。だから湯気を見ると心が安らぐのだろう。
※この短歌と文章は老人ホームの実況短歌集 にも掲載されております。
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